塗装剥離作業の目的

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旧車、ビンテージカーと呼ばれる旧い車を大規模に修復、レストアする場合、それに伴ない塗装の再補修が必要になってきます。

しかし、30年~40年それ以上前の車両にはヒビ割れた古い塗料(ラッカー系)が塗布されていたり、人気の車種になるとオーナー様が代わる度に好みの色に何度も塗り変えられます。
通常3回までが塗装の塗り重ね限界と言われ、それ以上は薬品的なトラブルが発生しやすいと言われていますが、酷い車両は6~7回色が変えられていたものもありました。
その様にヒビ割れたり、過度に塗り重ねされた塗料の上には何をしてもトラブルを招く可能性が大なので、キレイに仕上げる為には古い塗料を全て除去する剥離作業が必要になってきます。

又、車である以上安全運転上の観点から、旧い車両の塗装の下に隠れている過去の修復暦やサビ、腐りによる車両の傷み具合を確認する目的の為にも、合わせて塗装の剥離作業には重大な意味合いがあります。

今回は、メルセデス280S、メルセデス280SL、トヨタTA22セリカ、トヨタTE27レビン、以上4車両の作業風景を解説いたします。


メルセデス280S 塗装剥離作業

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本来はプレスラインがシャープで気品ある280Sですが、何度も塗り重ねられた様子で全体的に重たい印象を与えます。


ボンネットとトランクを取り外しました。
塗装の塗り重ねは3回までが限界膜圧と言われていますが、おそらく5~6回は全塗装されている様子です。


ドアは全ての付属部品を取り外して剥離作業準備です。
塗料のゴミが大量に発生するので、下には汚れてもすぐに掃除が、できる様に養生するほうがベストです。


塗料の剥離剤(リバー)と言う薬品を塗布して、旧塗装を溶かしていきます。剥離剤は通常 塗膜 一層ずつ位しか溶かす能力がありませんが、ドア4枚一緒に作業する場合は時間差で作業できるので有効です。しかし、薬品自体が劇薬ですので手袋、マスク、メガネは必須で取扱に注意をお願いします。


剥離作業の中盤から最終にかけてはペーパーによる、サンディングで鉄板を磨いていきます。


この段階で旧塗膜や使用した剥離剤が残っていないか何度も確認が必要です。
もし、見逃すとトラブルを招きます。
確認後 隅々までキレイに清掃します。


鉄板素地の上には必ず防錆力の強いエポキシ系プライマー塗布が必要です。
この工程をせず直接一般のサフェーサー処理に入ると、後々湿気による塗装トラブルの原因になったりします。


ボディー全体の剥離作業は内装やエンジン機関系を汚さないようにしっかりとしたマスキング養生が必要です。


リアピラーその他 赤く見えるのが1960~1970年前半に多用された防錆塗料ですが、これが強いラッカー系と思われ、この上に塗布された当時の塗料をかなり損傷させています。
この年代の車両はメルセデスに限らず全メーカー同様ですので
しっかり除去が必要です。


旧い車は、多くの場合何層にも塗り重ねられていますので、根気強く作業を進める心構えが必要です。
荒い作業でルーフの鉄板など傷めてしまうと、
その修復に多くの時間が必要ですし、仕上がりに影響します。


ボディー全体の剥離がすめば、過去の事故後修復度合、ヘコミ箇所、サビによる腐り具合などを細かくチェックして、一つずつ鈑金修正していきます。


ボディーにもキッチリとエポキシ系プライマー塗布で防錆力を確保します。


エポキシ系プライマーが乾燥した後は通常のサフェーサー処理を施工します。


Fフェンダーのプレスラインがキレイに復元できました。
車全体に本来のシャープな感じが見える様になりました。


全てのメッキパーツを取り付ければ、メルセデスらしい気品、風格、良い感じんで完成しました。


メルセデス280SL 塗装剥離作業

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メルセデス280SLは名車であり、人気車種ですが製造から40年位が経過しており多くの車両が最補修


この型のSLはボンネットやドアなどはアルミ製で製造されていますので塗装剥離には鉄板製品よりも注意が必要です。


ボンネットなどアルミ製の部品は材質が鉄に比べて柔らかく損傷しやすいので、できる限り薬品などで塗料を溶かして除去。
強いサンディングは禁止です。


ボディー全体は、鉄製ですのでサンディングOKです。
サンディングは大量のホコリが出ますので、室内、エンジンルーム、トランクなど養生が必須です。


人気車種は何度も塗り変え、塗り重ねされていますので鉄製の部品に関しては、一気にサンディングによる剥離が作業的に
早いと思います。


作業場のホコリ対策ができないケースでは、剥離剤による作業がオススメになります。サンディングのようにホコリが舞う事がありませんが、劇薬の為、充分な換気は必要です。


鉄製ボディーと言っても強いサンディング時に摩擦熱を大量に加えたりサンディングの機械面を鉄板にきつい角度で当てて剥離作業をすると損傷して歪んでしまいます。


アルミ製の鉄板はできれば最終、シングル回転ではなく、ダブルアクション回転のサンダーで研磨するほうがベターです。


アルミ、鉄 両方とも素地まで剥離した場合はエポキシ系、プライマー塗布で防錆力を確保しなければなりません。
一般サフェサーと違い水分の浸入を防ぐ力が強いのが特長です。


旧塗膜が残っていないか、剥離剤を使用した場合は薬品を拭き残していないか充分に確認してください。


エポキシ系プライマーはメーカーによって違うと思いますが、私共の使用している「デュポン」製では2~3コート塗布します。


プライマー乾燥後、サフェサー処理に入ります。


今日は人気の高いメルセデス純正色「050」に塗装しました。


Fフェンダー、ドア、リアフェンダーにかけてのメルセデスらしい
美しいプレスラインが復元できました。
重たい印象も解消されています。


トヨタ TA22 セリカ 塗装剥離作業

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1970年代前半 人気の高かったトヨタ TA22 セリカ。
この車両もオリジナルの塗装が残っていましたが、製造から40年位経過して再補修が必要でした。


現状把握と剥離作業準備の為、一つ一つ丁寧にバラし作業していきます。
旧い車両はボルト、ネジなどがサビて外れにくい場合が多々ありますので無理は禁物です。活性剤などを吹き付けて少しずつ緩めてください。


トヨタ TA22 セリカの場合 オリジナルのステップカバーには、絞った模様がプレスされていますので、サビ汚れを落とす場合、できればサンドブラスタなどを使用してサンディングは厳禁です


トランク、ドア共にヒビ割れ塗装になってしまっています。


オリジナル塗装で塗り重ねが無い場合は、剥離剤で作業が進めやすいです。
冬場のみ温度が低いと薬品反応が遅いので軽く温度を上げる対策が必要です。私共はジェットヒーターの温風で加熱します。


防水力、防錆力の高いエポキシ系プライマーになります。
アルミ製パネルに対する塗料密着力向上の為のプライマー代わりにもなります。


保管状態が大変良かったので浮きサビは発見できますが、大きな腐りはなさそうです。保管時は出来る限り湿気対策して、未舗装の土の上保管は避けて、コンクリートかアスファルトの上に保管する事をオススメします。


Fガラス廻りも手入れしたかったのですが、ガラスの廻りのゴム製品の欠品がどのメーカーもよくあり、Fガラス外せないケース多々あります。


リアフェンダーも上面は特に塗装がヒビ割れて、艶がまったくありませんでした。


リアピラー下部に少し見えるように残している赤い箇所が、当時の防錆塗料になります。1960~1970年主流の手法ですが強いラッカー系の為、上層の塗料がヒビ割れる原因になってしまっています。


人気のモスグリーンに全塗装して、8割程度組み付けた場面です。
メッキパーツもポリッシュ掛け テールレンズ廻りの部品の細部も再塗装されていますので、スッキリして見えます。


エポキシ系プライマー塗布後、サフェーサー処理した場面です。
リアフェンダーのシャープなラインが復元されました。


各部も磨き込まれ、再塗装され出来る限りの作業をしました。
組付け時、レンズ関係も内外両側清掃しています。


トヨタ TA27 レビン 塗装剥離作業

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